AMR(自律走行搬送ロボット）とは？AMRとAGVの違いと特徴について

近年、働き方改革や少子高齢化などにより人手不足の企業が増えてきており、深刻な社会問題となっています。企業側も外国人労働者の採用や待遇向上等を図り、人材を確保しようとしていますが、残念ながら求める人材が集まらないのが現状です。このような状況の解決手段として一つとして、人のかわりにロボットを導入する自動化がいま注目されています。 

この記事では人が行っている搬送を自動化することができるロボット　AMR（自律走行搬送ロボット）について、その特徴や導入による効果についてご紹介いたします。 

AMR(自律走行搬送ロボット）とは？ 

AMRは「Autonomous Mobile Robots（自律走行搬送ロボット）」の略であり、搬送機器の１つです。 地図を自動で作ることができ、自己位置推定技術とナビゲーション技術を用いて誘導装置なしに障害物が回避できる自律走行が可能なロボットです。 

AGV（無人搬送車）とは？ 

AGVは「Automatic Guided Vehicle（無人搬送車）」の略であり、こちらもAMRと同様に搬送機器の１つです。AGVは磁気テープなどの誘導体に沿って走行します。誘導方式には電磁以外にも光学誘導式・画像誘導式などの走行方式があります。AMRと違い、事前に人が走行経路上に誘導体を設置する必要があります。 

AMRとAGVの違いは？ 

AMRとAGVはよく比較されますがその違いはなんでしょうか？ 

大きな違いは次の通りです。 

〇走行方式 

AMRで使われる技術の一つにSLAM（Simultaneous Localization and Mapping）があります。移動しながら自分の位置と周囲の地図を同時に更新する技術で、地図を自動で作ることができます。その地図を用いて、ロボット自身が自身の位置と周囲の環境（障害物の有無など）を把握し、経路を自動計算することで誘導装置なしで自律走行が可能なロボットです。 

AGVは磁気テープなど事前に設置された誘導体に沿って走行するため、経路上に障害物がある場合は回避することができず停止せざるを得ません。 

〇人との協働 

上記のような走行方式の特徴があるため、走行ルート上に障害物や人がいる場合でも、回避もしくは減速・停車など設定に応じた対処により導入が可能です。しがたいAMRは人とロボットが一緒に働く協働ロボットにあたります。 

AGVは通路上に障害物がある環境や人が行き来するような環境では導入が難しくなります。 

〇価格 

AMRは高度なセンサーやソフトウェア技術が必要なため、AGVと比べ価格が高くなる傾向があります。 

〇導入に適した環境 

AMRは人の往来や障害物多い場所に適しています。また物理的に磁気テープの設置が難しい所、設置後に磁気テープの劣化が起きやすくメンテナンスに苦慮するような場所にAGVの代替えとして導入が可能です。一方で障害物の少ない開けた場所やなど、設備の配置変えが起こるなど地図が変化するような場所は苦手としています。 

AGVは、決まったルート上の走行しかできないですが、決めたルートを正確に走行したい場合などはAGVが適している環境もあります。 

〇導入後のレイアウト変更 

AMRは誘導体を必要としないため、レイアウト変更に柔軟に対応が可能です。AGVはレイアウト変更に合わせて磁気テープを設置しなおす必要があるため、頻繁にレイアウト変更する環境には向いていません。 

AMRを導入することで解決できること 

１．人手不足の解消 

これまで人で行われていた単純な運搬作業をＡＭＲ化することで、作業員を運搬作業から解放し、付加価値の高い生産工程に割り当てることで人員不足による生産性の低下を防ぎます。 

２．導入コストの低減

AGVの導入時には、一般に制御盤の開発、コース設計、様々な機器連携、また出荷時・導入時における立会、最終的な運行チェックなど、導入完了までに多くの人手がかかってしまいます。その結果、車体以上の費用がかかってしまいます。AMRであれば、お客様自身で導入ができますので、導入時のコストを大幅に低減できる可能性があります。

３．安全性の向上 

モノの運搬による作業者への肉体的負荷は大きいものとなっています。重量物の運搬は、運搬時におけるケガや事故の発生を招きます。またフォークリフトが行き来する危険なエリアでの作業は人との接触事故のリスクがあります。 

AMRを導入することで作業員を重量物の運搬から解放し、危険エリア内での作業を最小限にとどめることで作業員の安全が確保できます。 

AMRとAGVどちらがいいの？ 

AMR、AGVのどちらが優れているとは一概に決めつけることはできません。 

AMRとAGVの違いの中で述べたように、AMRとAGVにはそれぞれ導入に適した環境・使用方法があります。導入には、お客様のご要望と導入する環境に合わせた機器を選定する必要があるため、専門のエンジニアにご相談することをおすすめいたします。 

まとめ 

AMRは人手不足問題を解決する一つの方法として期待されています。品質や安全性の向上などの効果も 

AMRとAGVでは、それぞれ導入に適した環境がございますので、一概にどちらがより優れていると断言することはできません。効果を最大限に発揮するためにもお客様の環境・要望に適した製品を選定することが大切です。 

弊社では、これまで培ってきた経験をもとに、お客様のご要望に合わせた仕様決めから導入後までの一貫したサポートをご提供しております。 

まずは一度お気軽にお問い合わせください。