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カゴ台車をAMRでリフトアップ搬送する際の注意点

  • 執筆者の写真: Echigo Takumi
    Echigo Takumi
  • 2 日前
  • 読了時間: 3分

カゴ台車をAMRでリフトアップ搬送する際の見落としがちなポイントと対策


近年、物流現場や製造現場において、AMR(自律走行搬送ロボット)によるカゴ台車搬送の導入が進んでいます。本記事では、カゴ台車をAMRでリフトアップ搬送する際に見落とされがちなポイントと、その対策についてご紹介します。


リフトアップ搬送時に起こりやすい課題


カゴ台車をリフトアップした状態で走行させる際、カゴ台車のタイヤが床面に接地してしまうケースがあります。この状態では、タイヤと床との摩擦によりカゴ台車が大きく振られ、走行安定性が著しく低下します。安全かつ安定した搬送を実現するためには、カゴ台車を完全に浮かせた状態で走行させることが重要です。


リフトアップの前提条件


リフトアップを確実に行うためには、AMRの天板がカゴ台車の床下に正しく入り込むことが前提となります。今回対象とするカゴ台車では、床下にある梁部分をAMR天板で確実に支持する必要があり、適切な位置関係での運用が求められます。


    AMRのリフトアップ天板とカゴ台車の床板の位置関係
AMRのリフトアップ天板とカゴ台車の床板の位置関係

実は重要な「床板高さ」の変動要因


カゴ台車が浮くかどうかは、

  • カゴ台車の床板高さ

  • AMRのリフトアップ量

によって決まりますが、考慮すべき要素はそれだけではありません。床板の高さは、以下のような要因によって変動します。


  • カゴ台車の床板ロック機構における隙間の影響

カゴ台車ロック機構のあそび
カゴ台車ロック機構のあそび

  • 重量物を積載した際の床板のしなりによる影響

重量ごとのカゴ台車のたわみ
重量ごとのカゴ台車のたわみ

これらの影響により、設計上は問題ないはずのリフトアップ量でも、実際の現場では十分に浮ききらないケースが発生します。


対策①:スペーサージグによる高さ調整


こうした課題への対策として、AMR天板の位置をかさ上げできるスペーサージグを用意しています。床板高さのばらつきや荷重条件の違いを吸収することで、安定したリフトアップ搬送を実現します。


スペーサーのイメージ
スペーサーのイメージ
天板突き出し量の変化
天板突き出し量の変化

対策②:フレーム支持用ジグの活用


カゴ台車にはさまざまな仕様があり、特に床板が樹脂製のタイプでは、しなりが大きく、AMR天板だけでは十分に持ち上げられない場合があります。この場合、カゴ台車のタイヤが床に接触したままとなり、AMR下での旋回や方向転換が困難になります。


樹脂床カゴ台車の床面のしなり
樹脂床カゴ台車の床面のしなり

そこで、カゴ台車のフレームを直接持ち上げる専用ジグを用意することで、安定した搬送を可能にしています。ただし、カゴ台車の下でAMRが回転して進行方向を変えることができないので、運用側の調整が必要となります。


フレーム保持用ジグ
フレーム保持用ジグ

かご台車フレームリフトアップ
かご台車フレームリフトアップ

AMRによるカゴ台車のリフトアップ搬送は、一見シンプルに見えても、床板高さのばらつきや荷重によるしなりなど、現場固有の要因が走行安定性に大きく影響します。重要なのは、「持ち上がるはず」という設計前提に頼らず、実際の使用環境を踏まえた検証と対策を講じることです。


スペーサージグやフレーム支持用ジグといった工夫を取り入れることで、AMR本来の走行性能を最大限に引き出し、安全かつ安定した搬送運用が実現できます。今後AMR導入や運用改善を検討される際の一助となれば幸いです。

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