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工業団地の歴史から考える、これからの工場自動化― 組合と中央会に期待される役割とは ―

要旨


YOKOIDOへの問い合わせを分析すると、首都圏からの割合が高いことに気付きます。一方で、日本の製造業の多くは地方に立地しており、全国には数多くの工業団地が存在しています。


本稿では、工業団地という切り口から日本の製造業を俯瞰し、工業団地組合と中小企業団体中央会の歴史と役割の変遷を整理します。


また、経済産業省や大学、政府系機関の調査をもとに、地方の中小企業で自動化やロボット導入が進みにくい要因を考察します。


さらに、筆者自身の仮説として、経済構造と組織文化の関係から変化の難しさを考察し、今後の工業団地組合と中央会の役割について展望します。


YOKOIDO HPへの問い合わせ元(3-5月の3か月)
YOKOIDO HPへの問い合わせ元(3-5月の3か月)

はじめに


YOKOIDOのホームページへの問い合わせを分析すると、首都圏からの割合が高いことに気付きます。もちろん、首都圏には製造業や物流業が集積しているため、それ自体は不思議なことではありません。


しかし、日本の製造業の多くは地方に存在しています。


その違和感から、国土交通省の国土数値情報を用いて全国の工業団地を可視化してみました。すると、日本全国に非常に多くの工業団地が存在していることが分かりました。


地方にも製造業は数多く存在しているにもかかわらず、なぜ自動化やロボット導入は首都圏ほど進まないのでしょうか。


その背景を理解するためには、工業団地そのものの歴史と、それを支えてきた組合や中央会の役割を振り返る必要があると考えました。



全国工業団地マップ


本マップは、国土交通省「国土数値情報(工業用地データ)」をもとに、GEクリエイティブ(YOKOIDO)が独自に加工・可視化したものです。


■集合工業団地(拠点表示)

🔵 0~50ha🟢 50~200ha🟡 200~1000ha🟠 1000~5000ha🔴 5000~11000ha


■単独工場・事業所

⚫ 灰色で表示


工業団地とは何か


高度経済成長期、多くの中小製造業は市街地に散在し、「用地不足」「公害問題」「搬出入制約」「工業用水不足」などの課題を抱えていました。


1961年に創設された工場等集団化助成制度を契機として、中小企業が協同組合を組織し、共同で土地を取得し、郊外へ集団移転する仕組みが整備されました。共同受電、共同排水、共同倉庫、共同食堂などを整備し、中小企業の近代化を支える装置として工業団地組合が機能してきました。


工業団地組合の役割の変遷


高度成長期における工業団地組合の役割は明確でした。土地取得、融資の受け皿、共同受電、共同排水、福利厚生施設など、単独企業では難しいことを共同で実現することでした。


しかし1980年代以降、円高や産業空洞化などにより、新しい団地を開発する時代から、既存団地を維持する時代へと移行していきます。


その結果、組合の役割も、「福利厚生」「補助金取得」「情報化」「地域連携」「BCP」へと変化していきました。近年では、共同受電や災害対応など「再共同化」とも呼べる新たな動きも見られます。


一方で、「組合員の高齢化」「組合員減少」「参加意識の低下」「意識のばらつき」といった課題も顕在化しています。


工業団地組合を支える中小企業団体中央会


工業団地組合の背後には、中小企業団体中央会という存在があります。中央会の起源は戦前の工業組合中央会に遡り、現在では全国中央会と47都道府県中央会によって構成されています。


その役割は、「組合設立支援」「教育」「監査」「調査研究」「政策提言」「情報提供」など多岐にわたります。近年では、「DX」「GX」「BCP」「自動化」など新しい課題への対応も行っています。


現在、都道府県中央会の加入組合数は約2万6千、所属員数は約219万人に達しており、日本の中小企業政策を支える中間組織として大きな役割を担っています。


学術的にも大きな研究余地が残されている


興味深いことに、工業団地組合の長期的な変遷については、十分な統計データが整備されているとは言えません。全国の工業団地組合数、組合員数、共同施設保有状況などの長期連続データは限定的であり、学術的にも研究余地の大きい分野です。


今後、「団地組合の再編」「エネルギー共同化」「BCP」「DX」「人材不足」など、新しい課題に対して組合や中央会がどのような役割を担っていくのかは非常に興味深いテーマだと考えています。


現場のヒアリングから見えてきたこと


実際に関係者に話を伺うと、下記のような声が聞かれます。


「組合費を払っている以上、余計なことはしてほしくない」

「新しいことを始めると組合費が上がってしまう」

「怪しい営業電話やトラブルに巻き込まれるリスクがある」

「情報の整理やベンダー選定は行政や中央会がやってくれた方がありがたい」


つまり、現場では組合に変革を求めるよりも、信頼できる行政機関や中央会が情報を整理し、必要な時に紹介してくれることが期待されているように感じます。


これは組合機能の衰退ではなく、組合と中央会の役割分担が変化していると見ることもできます。


なぜ地方の工場自動化は進みにくいのか


導入コストだけの問題ではない

東京大学「ものづくり現場におけるロボットの導入をどう推進するか」では、7割以上の企業がコスト面の課題を挙げています。しかし同時に、「使い勝手」「現場適応」「導入人材不足」も重要な障壁であることが示されています。


人材不足とノウハウ不足

経済産業省「令和6年度地域経済産業活性化対策調査事業」では、「人材不足」「DX人材不足」「ロボット導入ノウハウ不足」が共通課題として整理されています。


インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI)の白書「中小企業の現場に見合ったロボットの導入普及を目指して」では、中小企業においてはロボット本体価格よりも、ティーチングや設定変更を担う人材不足、SIer依存などが導入障壁となっていることが指摘されています。

成功事例は存在する

一方、日本政策金融公庫や関東財務局の事例では、「外部専門家との連携」「アルゴリズム開発」「現場改善」によって自動化を実現している企業も存在しています。


つまり問題は単純な資金不足ではなく、「知識」「人材」「運用」の問題であると考えられます。


筆者の仮説


筆者は段階的社会変化のプロセスの視点で考えております。


社会には、その時代や場所において、影響力を持てる経済構造が生まれます。それを効率的に運用するための集団ルールである規範が形成されます。その規範下で育った個人がをれを当然のこととして価値観を形成していきます。


このような構造のもとでは、外部環境の変化に対応するための組織変革を、既存の組織内部のみで生み出すことは容易ではなく、外部との接点や新たな知見との接触を通じて初めて変化が加速するのではないかと考えています。


当社が所属している日本惣菜協会では、「工場見学」「勉強会」「展示会」などを通じて知識の循環が行われています。


工業団地という単位でも同じことが起こる可能性はあると感じています。


今後注目したいこと


高度成長期には土地やインフラを共同化しました。これからは、「人材」「エネルギー」「DX」「BCP」「自動化」といった新しいテーマを共同化する時代になるのかもしれません。


私は特に、「工業団地組合と中央会の役割が今後どのように変化していくのか」に注目しています。


YOKOIDOが目指していること


国のレポートが指摘する課題を見ると、「人材不足」「専門知識不足」「SIer依存」が共通しています。


YOKOIDOでは、「SIerレス」「自分で設定できる」「価格公開」「ライセンス不要」という思想で商品開発を行っています。搬送ロボットを家電のように導入できる世界を目指すことは、単なる省人化だけでなく、中小企業が社会の変化により柔軟に対応できる環境づくりにもつながるのではないかと考えています。

工業団地という切り口から日本を見直すことで、地方の製造業に必要なものが少しずつ見えてくるように感じています。

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